雑記録

Twitterで書ききれない長文を投げるときにつかいます。

ものがたりのできるまで

 イラストのメイキングは世にたくさんありますが、小説やシナリオのメイキングはほとんど見たことが無いので、のぞいてみたら面白いかな?と思ってやってみます。

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12761593

 こちらの小説がどのようにして形になったのか、という記事になります。

 今回は短めで説明がしやすいのと、最初の予定から紆余曲折あってかなり違うものになったプロセスが面白いと思うので、ざっくりと流れを追ってみることにします。

 

 

工程その1・着想

 ふだんはCPなしの作品を作っているのですが、CPなしのつもりで書いたものが主ベロ(ご存じない方は読まれないと思いますが、いちおう説明しておくと、プレイヤーの分身たる無口な主人公と、とっても強気なヒロインです)がお好きな方にとても気に入っていただけまして。
 その方に「自分にとって最強のツボはこういうのです!」と紹介していただいた、他の方の書かれた作品が「おお、この設定おもしろいね…なるほど、こういうのが」と思わされるものでして、感想をいただいたお礼も兼ねて、ちょっと自分なりにやってみようかと思い立ったのがきっかけです。

 亡国の王たるブンくん(主人公)がベロニカさん(ヒロイン)といっしょに、原作本編が終わったあとの世界で王様お姫様としてイチャつきながら国を復興するお話だったのですが、ちょうどバレンタイン用に女性陣がキャッキャしながらチョコレートを作るお話を書いていたので、その後編として取り入れてみようとまずは思い立ちました。 CP(付き合いだしてから)は書けないので、そこに至るまでの序章にしようと考えて


・ブンくんは勇者兼国王というプロフィールだけど、旅に出るまではただの素朴な村人だったので、そこを活かした牧歌的なお話にしよう、前編もちょうど村のお話なので

 ・一国のお姫様になるにはどうしたら?ある日突然?なにかの儀式や手続きが必要?そうだ、王様お姫様といえば冠、村の子たちがおままごとで作るような花冠で、本気なのか冗談なのかわからないニュアンスで「君は今からお姫様だ」なんて言われて、とまどったりしたら面白いかもね


 こんなアイデアがまず生まれました。
 このいわば「お話のタネ」の出どころは人によって大きく違うそうなのですが、私は完全に雨待ち、いわゆる「降ってくる」タイプです。
 いままでに触れてきた作品のワンシーンのパク…アレンジやオマージュだったり、知識や雑学的な小ネタから生まれることが多いですが、今回のアイデアはおそらく西洋の風習に「新婚さんたちは、納屋や馬小屋の干し草の中で初夜を迎えるお約束がある」というところから派生したものだと思います。
 現代の華やかな結婚式と違って、素朴というかつつましいというか…それでいてあからさまなので、面白いなと思って記憶していた雑学です。
 戴冠を結婚式にみたてた上で、冠が納屋の干し草だったら面白いな…と

 そこから話の山場にしたいシーンを考えました。具体的には以下のシーンが浮かびました。

 

・ブンくんがベロニカさんに花冠をかぶせて、なにか含みのあるようなことを言って呆れられる
「これで、キミは今からお姫様だ」
「アンタってほんとお子様ね…」

 

・就寝前の寝室、セーニャさん(ヒロインの双子の妹)に冠のエピソードを冗談のように話すものの、実は心を動かされるところがあったので触らせない
「お姉さま、私もお姫様になっても?」
「バカ。アンタまでおままごとを始めるんじゃないわよ」

 

・夜中にこっそり起きだして、花冠をストーブで焼く 友人のつもりでいたが、案外…と思って意識してしまい、そんな自分を笑い飛ばそうとする
「バカみたい」

 

 コンセプトを「ここから始まる主ベロ」ということに決めて、そこに繋がるエピソードを作りはじめることにしました。

 


工程その2・主題の決定とプロットの制作

 今回は浮かんだシーンが山場と結末だったので、そこだけ書いてもお話として成立しますが、いつものようにそこに至るまでの引き、いわば助走のようなパートを肉付けすることにしました。
 まずはお話の主題(テーマ)を探すため、先に思いついたシーンは自分にとってどこがグっと来たのかを煮詰めてみます。

 

・ブンくんはどうしてストレートに気持ちを伝えないのか?
→ベロニカさんを蘇生するために、色々なものを犠牲にしてきたので、少なくとも「ただの友達」ではなさそう
→だけど、恋人として結ばれるために、他人を蹴落とすような人間を自分は好きになれない
→それでも色んなものを天秤にかけてきたので、蘇生できたという事実に満足して、後悔はしていないものの、基本的には罪の意識として抱えていることにしよう
→なので気持ちを伝えることはない。片思いを墓まで持っていく…けど、やっぱり突き離して距離を取るようなこともできないので、ちょっとだけ内心をにおわせる

 

・ベロニカさんのほうは?
→前編で色恋にまったく無頓着なキャラクターとして描いた。他人に好意を寄せることもなければ、他人に好意を寄せられるとも思っていない
→そんなベロニカさんが、自分と他人の中にある好意にかすかに気がつく、たぶん思いついたシーンに自分が惹かれたのはそういうところだったのだろう。ブンくんの気持ちがかすかに伝わる、切ない感じが好き

 

・とすると、今回抱えた問題や悩みが深いのはブンくんのほう。彼を主役にしよう
→彼にとっての障害とは?たくさんのものを切り捨て、心を傷つけて来たのに、そんな自分が幸せになって良いのかという罪の意識
→前編が「誰も蹴落とさずに幸せになるのって、難しいよね」というお話だった。後編も同じテーマを引き継いだうえで明確な好意を描いて、結ばれるのは難しいと思うけど、その後上手く行ったかもしれないね、と想像に任せる感じにしよう
→ブンくんが自分が幸せになることでもっとも傷付けると思っているのは誰?時を渡って置き去りにしたカミュ(ブンくんの相棒)とセーニャ(ベロニカさんの双子の妹)。じゃあ、そのあたりを彼らと話すシーンを入れよう

 


 これで主題が決まったので、次はプロット(おおまかなお話の流れ)を組みます。
 思いついたシーンのうち、ふたつは結末になることが決まっているので、冠をかぶせる前後にどんなシーンを入れるか考えます。

 


・冒頭、ブンくんとそろそろラムダに帰るわとお話するベロニカさん

 ↓バレンタイン(前編)に関する雑談

 ↓おしゃべりしながらブンくんが手遊びで作っていた冠が完成「アンタ器用ね」

 ↓おままごとのように冠をかぶせられ、呆れるベロニカさん

 ↓お散歩中のカミュセニャに見つかり、あわてて退散

 ↓ブンくん「君らってどうなの?」 適当にごまかすふたり

 ↓ブンくん「じつは…」 時渡りの心残りについて、核心をボカして話す
 「君たちは、ぼくがいなくても幸せになれる?」
 「うぬぼれんな」
 「ごめんね。でもセーニャは、もしベロニカがいなくても、幸せになれる?」

 ↓場面転換、寝室でベロニカにイレブンがしていた話を伝えるセーニャ
 「ふーん、そんなこと言ってたんだ(アイツ、案外本気ってこと?)」

 ↓なんだかんだで持っていた冠をセーニャに見つかるが、触らせない

 ・冠をストーブに放り込み、物思いにふけるベロニカさん

  

 この時点では上のような流れになる予定でした。
 ちょっと尺が物足りない(たぶん1万文字に届かないくらい)ので、冒頭部分に別のシーンを付け足したいな…エマちゃん(主人公の幼なじみ。公式で片思い)とマヤちゃん(カミュくんの妹。筆者のお気に入り。めっちゃいい子)でも出そうか。
 だけど、主ベロのお話にするからには、エマちゃんを出すと話がややこしくなりすぎるよね…と、そんなことを考えながらも良いアイデアが出てこないので、このお話はしばらく塩漬けになっていました。


工程その2’ 方針を変えて作りなおし

 ちょっと私事というか、作品とは直接関係のない出来事ではありますが、それもメイキングの一部ということで。
 アイデアが出なくて煮詰まっていたことに加えて、前編のウケがとても悪かった(面白く書けた自信はありましたが、さすがにテーマが誰得すぎました)ので、まあ前編だけでもちゃんと完結しているし、このお話はお蔵入りで良いかな…と、そんな気持ちになり、当時別の作品に取り掛かっていました。
 そちらは順調に進んではいたのですが、自分としてはちょっと珍しい、テーマではなく雰囲気が重苦しい作品だったので、世の中がアレの影響で暗い今、これを世に出すのはな…と、そんな事情でそちらもいったん塩漬けにすることになってしまいました。
 それでも何か書きたいな…こっちを再開する?だけどこっちもテーマが誰得なんだよね…まあこんな世の中だし、たまには誰かが喜んでくれるものを、素直に書くのもいいか、と、そんな事情で素直にCPをやる明るいお話として改めて仕上げることにしました。

 

 誰かが喜んでくれるお話ということで、着想の段階で主ベロ作品が紹介してくださった方が「王様お姫様になったあと、お城でイチャつくふたり」というシチュエーションのお話を書かれていたので、きっとみんなが見たいものはこれだろうと思い、まずはお城のシーンを入れることを決めました。
 はじめに思いついた冠の出てくるシーンはそのまま使いたかったので、お城のシーンはおまけとして分離させることにして、そこに繋がるようにプロットに調整を加えました。

 

・お城ということは、ふたりが親密になっていなければならない
→じゃあ、ブンくんが明確に気持ちを伝えることにしよう
→ただし、恋愛は書けないので別の形で…前編でお姉さまがそう言ったものに興味がないキャラクターとして描いたので、そもそも不自然
→ベロニカさんは、なんとなく平和な村の暮らしには退屈しそうな気がする。もしもそれより面白そうな未来があれば、きっと興味を示すはず
→では、ブンくんが共に仕事をする「パートナー」としてお姫様にならないか?と、そう持ち掛けることにしよう

 

・とすると、変更が必要な部分は?
→ブンくんが気持ちを伝えるので、罪の意識を描くとお話がブレる。カミュセニャのふたりはカット
→では代わりにどんなシーンを……そうだ、冒頭部分でマヤちゃんとおしゃべりしながら冠を作ることにしよう。子供の遊び、花冠の作り方を教えていることにすれば、その後に繋がる良い流れになるはず
→ふたりはどんなお話を?ブンくんがベロニカさんに未来を提示することになるので、マヤちゃんにも将来の話をしてもらおう
→ふたりの共通項は?そうだ、マヤちゃんは未来の決断に迷っているから、ブンくんは未来を決断した、という対比として主題として取り入れることにしよう

 

カミュセニャをカットしちゃうと、寝室のくだりが入れられない
→ふたりを出したうえで、すこしニュアンスの違う話をさせようか?
→そうだ、ブンくんに「ベロニカがいなくても」の話をさせると、ベロニカさんが大樹のキャンプでした「アタシがいなくても」と上手くリンクする
→こっちでもベロニカさんがブンくんの本気度を計りかねるニュアンスは出せる。そうしよう
→冠を焼くシーンはそのまま。その後におまけがあるので、含みも増したと思う

 

・お城のシーンは?
→今回は誰かが喜んでくれるお話がテーマのひとつなので、ちゅーさせたい。させよう
→明確な主ベロのお話にするので、カミュセニャも明確にして、それぞれの道を歩む双子がひさしぶりに再会することにしよう
→これだとカミュセニャといっしょに旅するマヤちゃんが描けて最高だね…あと趣味でモブも出そう(ニヤニヤ)


 ここからどんなプロットが出来上がったのかは、本編を読んでの通りです。
 マヤちゃんを出すことにして、主題を決めてからは特に悩むことなくすんなり決まっていきました。普段やらないお話を考えるのは楽しかったです。

 

工程その3・小説の形にする

 設計図は出来たのであとは書くだけです。
 本文を書いているあいだに出てくるアイデアもかなり多く、私の場合はプロットと執筆中に思いつくものがいつも半々くらいです。ここも人によって大きく違うところだと思います。

 小説のお作法については、他人に語れるほどのノウハウもこだわりも持っていないのですが、形にするにあたっていつも気をつけていることがありまして…

「小説にルールも正解もない。これで良いのか?と悩んだときは、良いということにする」
「他人の文章と比べない。人には得手不得手があり、自分にも得意なところはある」
 筆が止まった時は、こんなことを自分に言い聞かせることにしています。
 自覚している自分の長所と短所(うぬぼれ含む)は…


長所
・セリフを書くのが好き。得意。自然な会話を作るのは上手いと思う。
・あまり細部にこだわらない。主題が伝わればいいと割り切れる。
・そのぶん、繊細な文章を書かれる方より筆が早い。他人よりかけている時間が短いので、と自分に言い訳ができる。
・ほわっとした素朴な空気感を出すのが好き。たぶん得意だし、上手くできていると思う。


短所
・地の文を書くのが苦手。楽しくないので苦しむことが多いし、がんばっても人並みに届かない。割り切って会話劇にする。
・詩的で繊細な表現が苦手。ほわっとしたものは得意なので、手を出さない。
・ジェットコースターのように二転三転するお話は作れない。好きでもないのでそれでいい。面白かったと言われる話ではなく、好きですと言ってもらえる話を書く。


 だいたいこんな感じです。
 「これで良いんだ。上手くはないけど、そこが味なはず。面白い話じゃない、伝えたいことを伝える話を書くんだ」
 と自己暗示をかけながら、ひたすら本文を書いていきます。
 良いとか悪いとか無いんです。自分が形にしたものはすべて正解です。そういうことにする強い意志が大切です。本人が小説だと言ったなら、その文章は小説です。そうでしょう?

 

 シーンを削って楽をしたい気持ち、はやく世に出して人目に触れさせたい気持ち、書いたものを誰も読んでくれないんじゃないかという不安などなどと戦いつつ、なんとか結びをつけたら完成となります。おつかれさまでした。

同人誌のつくりかた 小説の場合

小説本を作ってイベントに参加するにあたりまして、知識経験の一切ない状態からあれこれ学び覚えたことが、これから同じように本を出してみようと思われる方のお役に立つのではないかと思いましたので、書き残しておくことにします。

本文に入る前にひとこと…難しくないのでご安心ください。すぐできます。 

 

 

はじめに

【2019年版】磯野ー! 小説同人誌作ろうぜー!

 https://albalunaweb.net/knowhow/3340.html

 

作業にあたりまして、上記のWebサイトがとても参考になり、大いに活用させていただきました。この場を借りてお礼を申し上げます。

大変よくまとまっていて、必要な情報はほぼ書かれていますので、本記事をお読みになる前に、一度目を通されることを強くオススメします。

以降の記事は、上記のサイトのちょっとした補足程度のものになります。

 

作業全体の流れ

前提として、すでに本文が書きあがっているものとして話を進めます。

データとして出来上がっている文章を本の形にするためには

 

・本文のレイアウト、整形

印刷所にお願いするためには、家のプリンタで印刷するときと同じように、そのまま印刷できる形に仕上げる必要があります。縦書き/横書きに整形し、ページ番号をつけ、章の始まりが偶数ページになるように空白ページを挿入、中表紙と奥付…などなど

 

・表紙の制作

本の制作にあたり、おそらくここがもっとも苦労を要する作業になるかと思います。

 

・PDF化して印刷所に入稿 

PDFについては後述します。

 

おおまかにまとめてしまえば、これだけのお話ではあります…が、お仕事等で同様の作業をこなされたことのない限り、どちらもソフトの使い方を新たに覚える必要がありますので、数日程度の時間を見ておくことをオススメします。

 

 本文のレイアウト

 どのような環境で文章の制作をされているかは人によって違います(たとえば私はテキストエディタを使って.txt形式で書いています)が、入稿用にPDFデータとして形にする必要があります。

Word形式とくらべてPDFにはどのような環境で表示/印刷、拡大/縮小をしても崩れない。手元で理想的な形にととのえておけば、そのままの形で印刷してもらえるというとても大きな利点があり、プロの現場でも入稿はPDFで行われているようです。

印刷所によってはWord形式でも入稿できる場合がありますが、おおきな手間にはなりませんし、PDF形式は手元で出来上がりを想像しやすいです。

 

お手元にWordをお持ちの方はレイアウトを整えて、保存形式をPDFにするだけなので簡単ですが、もしもお持ちでない方はLibreOfficeという無料で使えるWordによく似たソフトがありますので、そちらを導入すれば問題ありません。同じくPDFで保存できます。

LibreOffice https://ja.libreoffice.org/

もしもPCをお持ちでない、もしくはWordに触りたくない方がおられましたら、Pixivに小説をPDF化する機能がありまして、ノンブル(ページ番号)や奥付も自動で入れてくれるので、そのまま入稿に使うことができます。特にこだわりのない方はかなり楽が出来ます。

 

 前置きが長くなりましたが、レイアウトに関してはかなり簡単で、配布されているテンプレートに本文を流しこむだけですぐに出来上がります。

・楽猫堂 http://nameless.2box.jp/rakugakidou/index.html

私はこちらの楽猫堂さんのテンプレートを利用させていただきました。

印刷するサイズと、一段・二段組のどちらにするかを選んで、Wordに読みこむだけなので簡単です。フォントなどの調整を加えたい場合も、その段階で変更するだけです。

 印刷所によっては、本文用のテンプレートを配布されているところもありますので、そちらを利用するとより安心かと思います。

 

中表紙や奥付についてはWordの表組などを利用して作るだけですが、レイアウトに悩みたくない場合は上述の楽猫堂さんで配布されている「A5フルセットテンプレート」というものにどちらも含まれておりますので、そちらを利用されるとよろしいかと思います。

 

表紙の制作 

ここが一番の悩みどころですね…。

まずはお持ちでなければソフトの用意からですが

 

・CLIP PAINT STUDIO https://www.clip-studio.com/clip_site/

とにかくユーザーが多いので、わからないことがあればググるだけで大抵はすぐに解決できます。購入しなくとも月額500円で利用できますし、試用期間もあります。

 

・Krita https://krita.org/jp/

こちらは完全に無料のソフトです。機能面は遜色ないですし、操作もわかりやすい…のですが、ユーザーが少ないのでわからないことがあった時にすこしだけ困るかもしれません。

 

 PhotoshopGIMPなど、有名な画像編集ソフトはほかにも色々ありますが、このふたつに比べるとかなり習得のハードルが高いので、画像編集ソフトの扱いに慣れていない方は、上記ふたつのどちらかを利用することをオススメします。

どちらもpsd形式の出力に対応していますので、そのまま入稿に使うことができますが、オンラインのPDF化サービスを利用することで、レイヤーの設定ミスなど余計なトラブルを防ぐこともできます。

・PSDからPDFへのコンバーター https://convertio.co/ja/psd-pdf/

たとえばこちらですが、ほかにもPSD PDFで検索するとたくさん出てきます。

 

 次に表紙の制作…に入る前に、実は大事な注意点があります。

私がお世話になったポプルスさんの入稿ガイドがたいへんわかりやすかったので、まずはご覧ください。

・ポプルス利用ガイド 表紙原稿 | 株式会社ポプルス

こちらにかかれている通り、背表紙、裏表紙、それに断ち切りを考慮したデザインを考える必要があります。

それぞれの寸法などはお願いする印刷所によって変わりますので、各々にチェックしていただくとして、本題の表紙制作について。

私には何か語れるほどの知識がありませんので、デザインから制作までに参考にさせていただいたり、利用させていただいたサイトをまとめておきます。

 

 

・10分でできる! Web小説の表紙画像をそれなりにサクッと作る方法 http://tadeku.net/80026

・小一時間で、フリーソフトのメディバンペイントのみで小説同人誌の表紙を完成させるメイキング http://novel-doujin.hatenadiary.com/entry/2016/12/11/013828

デザイン面では上記のサイトが参考になりました。

 

続けて写真素材

・ぱくたそ https://www.pakutaso.com/

・写真AC https://www.photo-ac.com/

このふたつのサイトは大変有名で使いやすいですが、そのぶん他人とカブりやすい面がありますので…

・Unsplash https://unsplash.com/

・Pixabay https://pixabay.com/ja/

・Burst https://burst.shopify.com/

これらの海外のサイトを利用されるのも良いかもしれません。検索には英語をお使いください。

 

フォントはこちら

 ・商用可!手書きでナチュラルな無料フォント100個まとめ 2019年完全版(和 / 英文対応) http://photoshopvip.net/99366

・2020年用、日本語のフリーフォント418種類のまとめ -商用サイトだけでなく紙や同人誌などの利用も明記 https://coliss.com/articles/freebies/japanese-free-fonts.html

 

 写真を使わずにパターン素材などを利用する場合

・イラストAC https://www.ac-illust.com/

こちらが便利ですが、ほかにもPixivやCLIP STUDIOのイラスト素材ストアなどでもたくさん見つけることが出来ます。

 

印刷所選び、入稿について

 同人誌を制作していただける印刷所は探す必要もないくらいたくさんあるのですが、小説は「対応はしている」程度に受け付けておられるところが少なくなく、そういったところにお願いすると、どうしてもページ数が多くなる小説本はかなりお高くなってしまいますので、よくよく探して検討されることをオススメします。

 

私が調べた中では

・ちょ古っ都製本工房 https://www.chokotto.jp/

たいへんお安いですが、受け付け/締め切りのルールに非常にクセがありますので、ご利用の際はよくお調べください。早めに行動できる方にオススメ。

・製本直送.com https://www.seichoku.com/

小説本の場合、こちらの二か所が特にリーズナブルにお願いできそうでした。ほかにも見つかればまた追記していきます。

 

入稿のルールについては本当に印刷所によって異なります(特に表紙)ので、お願いするところのガイドラインをよくお読みになってください。

 

おまけ・イベント当日について

覚え書き程度に書き残しておきます。

コミケの準備はOK!?イベントのブース設営で使える便利なテクニック【保存版】 https://www.pixivision.net/ja/a/3132

・【お役立ち】コミケコミティアのスペース設営│同人誌即売会のディスプレイ実例 https://purako-blog.com/oyakudachi-comike-display/

こちらのサイトがとても設営の参考になりました。

 

・編集できる 値札テンプレート https://creativepark.canon/doujin/sampleItem01.html

値札はこちらを利用させていただきました。

 

当日かならず必要になるものは

・テーブルに敷く布

110cm幅がサークルスペースにぴったりのサイズになるようです。

「あの布」「サークル布」などで検索するとすぐに見つかります。

・お釣り

小銭のやり取りがある場合、受け渡し用のトレイもあると良さそうです。

このふたつがあれば、とりあえずはなんとかなるようです。

 

それ以外で気がついたものは

・展示用ポップ

通路から見えやすいように吊り下げたものは、多くの方に見ていただけましたが、手に取って読めたらいいかな?とテーブルの上に設置したものは、やはりスペースで近寄って足を止めるのは抵抗があるので、あまり意味がなかった気がします。

「通路からちょっと足を止めて見られるポップ」という範囲の中で工夫されるのが良さそうです。

・フリーペーパーなど

やはりみなさん用意されておられますので、手に取ってくださった方も「受け取る前にきっと何か入れるよね?」という感じで待ってくださいますので、なにも準備がないと気まずい空気が流れます…すみませんでした…

気合を入れたものでなくとも、ちょっとしたメッセージや名刺など、とにかく本といっしょに渡せるなにかを用意しておくことを強くおススメします。

同人イベントにサークル側で初参加したお話

タイトル通り、はじめて本を作って、はじめてイベントに参加した体験談です。

いわゆる「字書き」目線でお送りします。

 

 

 はじめに

 まずは簡単な自己紹介をさせていただきます。

  • 二次創作は他の方の作品をTwitter上で楽しむだけ、イベントに参加したことも、どなたかの本を手に取ったこともありませんでした。
  • 文章を書くのが好きなので、その延長でときどき小説を書いていました。
  • NL/BL/GL、いわゆるCPからは、どれも距離を置いた人間です。どちらかと言えば苦手で、自分で書くこともできません。
  • R18も同上。

まとめると、オタクを自称することがはばかられるくらいの、ゲームが好きなごく普通の人間です。

参加のきっかけは?

 さかのぼること数年、私は某国民的RPGのシリーズが好きで(DなんとかとFなんとか、どちらも好きですが今回はDのほうのお話です)みなさんとおなじように当時発売された最新作を買いもとめて、楽しんでいました。

たいへん気に入ったのですが「お話の結末がふたつある」という仕掛けをもった作品でして、私は片方の結末にすこし引っかかるところがあったんですね。

「ハッピーエンドではある…んだけど、本当にこれでよかったのかな?」と思いまして、そのもやもやとした気持ちを形にしてみようと思い立ち、はじめて二次創作の小説をしたためて、某イラスト投稿サイトで発表しました。

思いのほか好評をいただけまして「そうか、やっぱり同じことを感じた人、多かったんだね」と満足はしたのですが、特に同人分野の活動に興味があったわけではなかったので、書いて良かったなとは思いつつも、同タイトルで別の作品を作ることも、別のジャンルに移動することもなく、それきりになっていました。

 

それから月日がたち、同タイトルに追加要素をつけたした完全版のようなものが出ることになりまして、思い入れのあるタイトルなので私はとても楽しみにしていました。

オリジナル版の発売当時は、Twitterでの活動はしていなかったのですが、完全版が出ることがうれしくてTwitterをのぞいてみましたら、発売のかなり前の段階から私と同じように楽しみに待っておられる方がたくさんおられまして、二次創作をされていらっしゃる何人かの方とつながりが出来たんですね。

そのうちに私が書いた小説に興味を持って読んでくださった方に「半年先のイベントに出るんだけど、ご一緒にどうですか?なんならこちらの作品をそのまま本にするだけでも大丈夫なので」と誘っていただけまして…

私は関東在住なのですが、誘っていただいたイベントは大阪のものだったので「大阪旅行のついでにイベントに出てみるのも、面白いかもね」と軽い気持ちでご一緒させていただくことにしたのが、今回のきっかけとなりました。

 

半年後への準備

ずいぶん前に書いた作品を本にするのはいいとして、一冊だけ並べるのではさびしいよね…と思い立ち、新作を用意することにしました。

前回は片方のエンディング後を描いたので、今回はもう片方のほうのお話にしよう、それぞれで一冊づつ並べたらおさまりがいいよねとすぐに思いつき、そこからお話を作りはじめました。

完全版の発売日がイベントの4か月前でしたので、3か月あれば十分に書きあげられるでしょう、追加要素がいろいろあるだろうから、実際に書きはじめるのはロケハンをしてからのほうが良いよねと考えまして、あれこれアイデアを出してお話を練りつつ、発売を待ちました。

実際に発売されてから丸々ひと月ほど、みっちりと楽しませていただきまして、お話はできた、新しいアイデアもたくさん拾えた、これで準備は万全と、作品を書き始めることにしました。

 

たのしい執筆活動

長編の中の区切りの良いところでパートを分けて、書きあがりしだい投稿していく形をとったのですが、これがとても楽しく…

前作も同じ形式をとっていましたが、投稿サイトの外で一切活動をしていなかったので、閲覧数や評価は増えていくものの、直接感想やリアクションをいただけたことが無かったんですね。

それと比べて、今作はTwitterのほうで細かく感想を伝えていただけて、続きを楽しみにしてくださる方に恵まれたうえ、すこしづつ読んでくださる方も増えていきまして、元々文章を書くことが大好きな上に、書いたものに反応までいただけて、こんなに幸せなことってある…?と、執筆中はただひたすらに楽しかったです。

締め切りのプレッシャーで気を病むこともありましたが、読んでくださった方々のおかげで、15万文字の作品が無事に完成までこぎつけることができました。この場を借りて、改めてお礼をさせていただきます。ありがとうございました。

 楽しいですね、同人…みなさんがハマっている理由がとてもよくわかりました。

 

本にする作業、イベントへの準備

本文を書きあげたので、イベントまで半月あまりの段階で、ようやく本の形にする作業にとりかかりました。

 困った事に、一緒に参加した方が「自家印刷、自家製本をする絵描きさん」と、ページ数の都合でどうしても印刷所を利用させていただかなければならない字書きの私とは対極にありまして、なにもかもイチから調べて作業を進めることになりました。

本文がすでに書きあがっていても、めまいがするほどに覚えることが多く…

  • 表紙の制作(絵も少し描けますが、表紙にできるようなものは描けないので、そのためのアイデア出しから)
  • 本文の組版(生の.txtで書いていたので、縦書きへの整形作業)

  • 入稿のためのお作法の学習(印刷所のWebがとても親切だったので助かりました)

絵描きさんと違い、本文はキーボードを叩いて書きあげるだけなので、この段階ではじめてpdfという画像形式に落とし込むあれこれを学ぶ必要があり、とても大変でした。

本の作業以外にも…

  • 当日に向けてのTwitter上での告知(どうしても画像を作らなければいけない)
  • スペース用のPOP制作(同上)
  • 展示レイアウトの学習、機材の用意

などなど、たくさんの作業があり、私にとってはどれも「こだわりがないのに、ちゃんとやらないと周囲から浮く」ので必要に迫られてしなければならないもので、とても辛かったです。

このあたりで学び覚えたことは、のちの方のために別記事にまとめておこうかと思います。

 

イベント当日

参加を決めてから下見のために別のイベントに足を運んでいたのですが、それでもサークル側で参加して「設営完了しました!」などとつぶやく瞬間は、ほんの1年前まで想像さえできなかったので、とても感慨深いものがありました。

CP無し+一般向け+小説本が極北の存在であることはわかっていたので、当日は持ち込んだものを丸々持ち帰る覚悟をしていたのですが、ありがたいことに思った以上に手に取っていただくことが出来まして、とても感動しました。

素性もしらない、どこが引っかかったのかもわからない方に、自分の作品を手に取っていただけるのは、とても不思議な思いがしました。

 

感想など

以後は参加後の感想文です。

いま感じていることは、率直に言えば「本編の最終回をネットに投稿した瞬間が、楽しさと達成感のピークだったかな」という一言になるでしょうか…イベントに参加されるみなさんの動機はおそらく

  1. 友人、知人に会うために参加する
  2. ステキな作品に出会うために足を運ぶ
  3. 自分の本を誰かの手に取ってもらいたい

この3点になるかと思いますが、私の場合は1番の理由がかろうじてあっただけな上に、誘ってくださった方の他に会場に知り合いもほぼ(Twitter上で作品を目にして、名前は存じている方はおられました)いませんでしたので、イベント後の大阪観光より楽しかった?と聞かれると、素直にはいとは答えられない感じでした。

はじめてのサークル参加で余裕がなく、他に参加されたみなさんとコミュニケーションを取れなかったのも大きいです、ここは反省点ですね。

 

一方で、やはり締め切りのある作業ができたことは大きく、もし参加しなかったら今回書き上げたものは間違いなく世に生まれていませんでしたし、その過程で知り合えた方もたくさんいらっしゃいましたので、その点は参加して良かったな、と心から思っています。

作品を作ることはとても楽しいので、今後もネット上で続けていきますが、イベントに関しては、もしも友人知人が多く参加されるイベントがあれば、また出てみてもいいかな、という程度に考えています。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。